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コラム

親知らずの抜歯について その②

コラム

2019.02.01

今回は親知らずの抜歯についてもう少し具体的にお話しします。

親知らずの抜歯は、時間がかかる・怖い・痛いなど嫌なイメージをお持ちの方が多いと思いますが、上あごと下あご・生え方・年齢などにより、難易度は異なります。

基本的に上あごの親知らずの抜歯は難易度が低く、早くければ1分とかからず抜歯ができます。抜歯後もほとんど痛みもないことが多いです。

下あごの親知らずは、生え方(真っすぐor横を向いている、歯の頭がでているor埋まっている)により難易度に差が出ます。歯茎を切開したり、歯を分割して抜く、切ったところを縫うなどの行程を踏みますので、そういった場合は30分~1時間ほど時間がかかり、あとで痛みがでることが多いです。(抜歯中は麻酔ににより痛みは感じません)

もう一点、歯は年齢とともに埋まっている骨と癒着していくため、若いころの方がスムーズに抜歯できることが多いです。

 

まずは、親知らずの抜歯に対するリスクを列挙してご説明します。

①神経の麻痺

下あごの骨の中には神経と血管が入っているトンネルが存在します。下の親知らずの根の先とこのトンネルは非常に近い位置にあることが多く、抜歯の際に神経に接触してしまうと麻痺が発生します。症状としては抜いた側の下あご・下唇・舌の感覚(知覚)が麻痺するため、麻酔が効いているような症状が出ます。場合によってはピリピリと痺れた(正座の後に足が痺れるような感じに似ています)症状が出ることがあります。

危険性は全体としては1%ほどで、症状がでた場合、月単位での経過観察が必要になります。

②出血

歯を抜くため、出血はある程度予想されます。抜歯した跡(穴の中)には抗生物質と止血剤を入れて、歯茎を切開した場合には縫い合わせます。

上の項目でお話したように、トンネル内には血管も入っているため、傷がつくと大量の出血のリスクもあります。その場合も適切に対処いたします。

③上顎洞との交通

上あごの骨の中には、上顎洞と呼ばれる空洞が存在します。この空洞は、蓄膿症の時に膿がたまるところとして知られていますが、上の親知らずの根の先が、この空洞の中に突出している場合があります。このような親知らずを抜歯した場合、その穴により口と鼻との間がつながってしまい、口から飲んだ水が鼻から出てきたり、空気が口から鼻に漏れたりします。あいた穴の大きさにもよりますが、大部分は自然に閉鎖します。

 

それでは、抜歯後にはどのような症状がでるでしょうか

❶痛み・腫れ

腫れのピークは抜歯後数時間後から出始め、24~36時間がピークとなります。

痛みは術後、麻酔が切れ始まる頃から出始めます。どちらも1週間前後で消失しますので、抜歯をお考えの方は、抜歯後のスケジュールに注意が必要です。

❷出血

抜歯後1日~2日は唾に血が混ざることが考えられます。

❸開口障害

下の親知らずを抜くと、周りの筋肉にも炎症が広がることもあるため、数日~1週間は口が開きづらくなります。

❹内出血

血液をサラサラにする薬(抗凝固薬)を内服している方に出やすい症状ですが、抜いた部分の顔の皮膚の下に内出血がでることがあります。

始めは赤紫色で、だんだん黄色になって範囲が広がり、1~2週間で完全に消えます。

❺麻痺

神経が傷ついた場合は、麻痺(痺れ)が出ることがあります。

❻鼻から水や空気が漏れる

上顎洞と交通した場合は、このような症状が出ることもあります。

❼ドライソケット

歯を抜いた跡の穴の中は、血餅と呼ばれる血がゼリー状に固まったもので満たされます。この血餅がかさぶたの役目を果たすのですが、十分に固まらなかったり、とれてしまうと、骨がむき出しになるため、強い痛みが出ることがあります。症状が出た場合は、適切な処置を施し、抗生物質等を内服していただきますと、10日前後で治癒します。

 

次回は、抜歯にかかる費用や、全身麻酔と部分麻酔での抜歯の違いなどをお話しさせていただきます。

 

【つづき】親知らずの抜歯について その③