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コラム

骨粗鬆症の薬と抜歯について

コラム

2024.03.29

骨粗鬆症は骨がもろくなり、簡単に骨折しやすくなる病気です。

 

特に高齢者の方で、背骨や太ももの骨(大腿骨)を骨折してしまうと、死亡率が高まったり、要介護のリスク(寝たきり)が格段と高まることがわかっています。

しかし、骨粗鬆症にはいい薬があり、治療を続ければ骨折のリスクは確実に減ります。

 

そんないい薬ですが、内科や整形外科の先生から、『骨粗鬆症の薬を使っていることを歯医者の先生に伝えてくださいね』と言われることがあると思います。

これは、骨粗鬆症の薬の副作用から始まる、MRONJ(薬剤関連顎骨壊死)という病気が関係しています。

骨粗鬆症の予防や治療に使う薬の一部を使用している方が、抜歯や口の中の外科的な手術を受けた後に、菌があごの骨の中に入って悪さをして、あごの骨を壊死させてしまう病気です。

薬を使用していない一般の方にも起こる可能性はありますが、骨粗鬆症の薬を使っていると骨の新陳代謝がゆっくりになるため、菌が悪さをしやすくなり顎骨壊死を発症するリスクが高まります。

 

では、骨粗鬆症の薬を使用している方は抜歯が必要でもできないのか?

 

いえ、抜歯はできます。抜歯すべき歯があるということは、お口の中に感染源となる菌が多くいるということで、抜歯を待機することにより感染が悪化してしまいます。抜歯前後に抗生物質を服用したり、感染しにくいよう傷を塞ぐことによりMRONJを予防しながら抜歯することが可能です。

 

このMRONJの研究がはじまったばかりの頃は、『薬をいったん中止して、数か月後に抜歯をする』といったことが行われていましたが、最新の研究・調査をもとに、現在では『原則として、骨粗鬆症の薬を抜歯前に中断する必要はなく、薬を継続しつつ必要な時に抜歯をする』ことになっております。

骨粗鬆症の薬でも、あごの骨に影響しない薬もありますので、決して自己判断で薬を止めたりしないで、かかりつけの歯医者さんに相談してください。

もちろんお口の中をきれいにしておけば菌そのものが減るため、MRONJにかかるリスクをからり下げることができるんで、口の中を普段から清潔にしながら、定期的に歯科受診することは非常に大切です。

 

 

以下にMRONJのリスクがある薬リスクがない薬(商品名)を列挙しておきますので、ご参考にしてください。

 

リスクあり

内服:フォサマック錠、ボナロン錠、アクトネル錠、ベネット錠、ボノテオ錠、リカルボン錠、ボンビバ錠

注射:ボンビバ、ボナロン、リクラスト、プラリア、イベニティ

 

リスクなし

内服:ワンアルファ錠、アルファロールカプセル、エディロールカプセル、エビスタ錠、ビビアント錠

注射:フォルテオ、テリボン、オスタバロ